#4 イワシのバカ

上司の強力な後押しで、上昇気流に乗りつつあるイワシ・ドナルドソン。
向上心は人一倍。
今日も純朴、愚直に生きています。

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相変わらずヒマがあると図書館へ行って本を読んでいます。

趣味の釣りも上達し、色々な魚が釣れるようになりました。
そういえば先日、本人いわく"記録的な魚"を釣り上げました。

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「ルアーと同じサイズの魚が釣れる…って、どういうことなんだろう…」

とても小さいお魚が連れました。。。
そのまま池に戻してあげようかとも考えたのですが、


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剥製にしてみました。
真ん中の小さな"つぶ"がお魚です。

そして、気になるジャミー・ジョリーナ先生との、その後の話ですが・・・

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「イワシさん♪私、今夜は帰りたくない…♪」
(い…いきなり押しかけてきて帰りたくないって、どうなんだ…
でも…でも…でも………( ;∀;)…)


恐るべし、大人の色香。
遊びに来たから挨拶しただけなのですが、
勝手にお色気攻撃を仕掛けてきてイワシはタジタジです。

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「あたしの存在、完全無視だし(怒)」
「あわわわ…。じゃあみんなでテレビでも見…」
「テレビなんて、どうでもいいじゃない♪ねえ、イワシさん。私を見て?♪」
「ひぃ…」
「じゃあ、あたし帰るね」
「ちょっ…待っ…この状況でお兄ちゃんを1人にする気か?!
ハチに刺されたと思って、がんばって
あんな色っぽいハチがいてたまるか
じゃあ、キョーコ・カノウに噛まれたと思ってあきらめなよぉ( ´Д`)=3
「イワシさぁ〜ん♪」
「は、はいぃ! オレの好みは無視か?無視なのか?!
…とにかくがんばって、またねー
「いやああっっ、ひとりにしないでぇーーー」
「んもう〜、イワシさぁ〜ん♪まだぁ〜?」
「ひ〜やぁぁぁぁぁーーー」

夏休みのキモだめし大会で集団パニックに陥った女子中学生のような悲鳴を上げつつ、
イワシは自宅へ引っ張り込まれたのでした。
その夜、彼の身に何が起きたかはわかりませんが、翌朝、ジャミー・ジョリーナ先生はイワシの自宅から出勤したそうです。
南無南無。

公私ともに充実(?)してきたイワシ。
ある日、こんな話を持ちかけられました。

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政界に来ないか?と誘われたのです。
しかしイワシは、丁重にお断りしました。

転職の話を持ちかけてきた人物は、彼の気持ちに一定の理解を示してくれましたが
「諦めたわけではない」と言い残し、去っていきました。

同僚たちが、イワシの決断を歓迎し、誉め称える中、
入社当時から彼を育ててきたソーントン部長だけは心配していました。

「本当に、良かったのか?」
「確かに、魅力的な話でした。ここより給料もいいし…」
「…うむ」
「でも、オレの選択は、間違っていないと思ってます」
「…そうか」
「そんな事より部長、業務上のことでご相談というか、会社に提案したい事があるんです」

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このところ、イワシの会社では「朝残業」をする社員が目立って増えていました。
夜20時になると「エコ」の観点から、会社の電気が全て消されてしまうため、夜の残業が出来ないからです。
せめて朝ごはんでもタダになれば士気も上がるのに…と考えたイワシの提案で、
なんと、金曜日は朝のベーグルが無料になりました。
社員に大好評です。

そしてついに・・・
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イワシ、事業部長に昇格です。

ソーントン部長が夕食をごちそうしてくれると言うので、
喜んで遊びに伺うと・・・
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すごい豪邸・・・。

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ハンパない豪邸・・・。

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「なんか理想郷みたい…」

部長と奥さんがディナーの準備をしてくれている間、イワシは夕日を眺めながら読書をしました。
ソーントン部長ご自慢のグルメ漫画コレクションも凄かったですが、
本棚に所狭しと並べられた書籍の数々は、イワシのハートを揺さぶりました。

「いつか、あんな豪邸に住んでみたいな…。その為には頑張らなくちゃ!」

事業部長として、大勢の部下をまとめていくには沢山の知識とタフな精神が必要でした。
イワシが「人の上に立つって大変なことだな…」と痛感していた、そんなある日のこと─

「イワシ!イワシ!大変だ!!」
「どうしたんですか、ソーントン部長。顔色が良くないですよ…!」
「今、そこで聞いたんだが、副社長が倒れられた!脳梗塞らしい」
「ええっ!?」
「命に別状はないが、奥さんが旅行中で発見が遅れたようだ。障害が残るかもしれない…」
「そんな!お見舞いどうしm…あ……えええ!!副社長?!今、副社長って言いました?!」
「ああ。倒れたのは副社長だ。どうしたイワシ!」
「明後日はスポーツスタジアムとの大事な会議があるんですよ〜〜!(涙)」
「副社長が出る予定なのか!?」
「出るもなにも、メインプレゼンテーションは副社長担当です。オレはただの手伝いで…」
「CEOは?!」
「明日から海外出張って言ってました(涙)」
「スポーツスタジアムって言ったな?…じゃあ、スポーツ事業部長がいるだろう?!」
「オリンピックの対応で、もう現地入りしちゃってます(涙)」
「………じゃあ、たぶんお前がやるんだろうなぁ」
「………無理ですよぉ(涙)」

大変なことが起きてしまいました。
上層部は大騒ぎです。
倒れた副社長のことも気がかりですが、明後日に迫った会議はどうするのでしょうか。

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イワシにキラーパスが投げられました。
予想だにしなかった昇格です。
副社長として着任した翌日に、今年最大とも言える大会議が待ち構えています。

イワシの会社では、町のスポーツスタジアムからの依頼で、
来年度のプロモーション計画を作成していました。
スポーツを広め、ファンを増やし、スタジアムに呼び込んで売上を上げるための施策。
コマーシャルや広告、グッズ作成から、コスト管理など、あらゆる角度から切り込んだ案を作る必要があります。
医薬品部門の事業部長として会議の片隅にいる予定だったイワシが、
突然、先頭に立ってお客様と話をする立場になってしまったものですから、さあ大変。
秘書さん達をはじめ、スタッフは大パニックです。

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「着いたら起こしてやるから寝とけ、イワシ。あ、いや、副社長」
「イワシでいいですよ…せんぱい。寝たら覚えたこと全部忘れちゃいそう…」
「文字通り、一夜漬けってやつだな」
「オレ、病院関係の事業部だったから、いきなりスポーツうんぬん言われても…わけわかんないですよ」
「けど、みんな言ってるよ。イワシならなんとか出来るだろうって」
「自信ありますよ。だって、オレみたいなヤツをスポーツファンにする方法を考えればいいんでしょ?」
「そういや、イワシは釣りバカだっけ?」
「はい。スポーツまったく興味なし(笑)」
「この上ない適任だな」
「開き直って、しゃべりまくって来ますよ」
「おう。よし、…着いたぜ。」
「じゃあ、頑張ってきます」
「イワシ、幸運を。俺もお前なら出来ると信じてるよ」
「行って来ます!」

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スポーツに何の関心もない男、イワシ・ドナルドソン。
前日朝から夜中まで、スポーツ事業部の精鋭達から、スポーツとはなんぞやを叩き込まれていました。
そして考えたのです。
なぜ自分がスポーツに関心を持てないか、を。

ルールがよくわからない
痛そう。
試合が長い。

とっつきにくい理由は色々ありました。

「やっぱり、もっと親しみやすい環境作りが必要だよね…。
キャラクターを前面に押す作戦で行こう。」


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彼が提案したラマのキャラクターを前面に押し出す作戦は、
彼と全社員が予想した以上の効果をもたらしました。

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そして、まさかのCEO就任。
(※CEOが重度のイボ痔に悩んで「辞めたい」とダダをこねての交代劇だったことは
  全社員に伏せられています)

最高経営責任者として会社全体のことを考えながら仕事に励む毎日。
家は相変わらず、伝統の豆腐ハウス。
通勤は先輩の車で送ってもらっています。

「おつかれー!」
「し、CEO!!何してるんですか!」

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「え?家帰るとこだけど…?」

帰りはチャリンコ(;・∀・)
という日々。

そんなある日、彼は「自社の社員がマフィアに追い詰められた末、窃盗事件を起こす」というトラブルに直面しました。
会社が大事に至ることはありませんでしたが、イワシはその事件に深く心が痛みました。

ソーントン部長は彼の肩をポンポンと叩いて言いました。
「奥さんに見舞金を渡してきたんだって?」
「彼は加害者でもあるけど、その前に被害者だったんです」
「うん…。で、その社員を追い詰めたっていう、マフィアの裏金融は?」
「トンズラです。電話も店も無関係の他人名義で借りてた、って。まだ警察が調べてますけどね…」
「見つからないだろうな…大抵そういう輩は普段アジトに潜んでいて、
 金を稼ぐ時だけ水面にちょこっと顔を出すんだ」

「許せない…。だって、またウチの社員が狙われるかもしれないんだ…」

ソーントン部長がCEO室を出て行くのと入れ替わりに、
秘書に案内されて ある男性が入って来ました。

「お久しぶりです」
「あなたは…!」
「私があの時、諦めない、と申し上げたのも覚えてらっしゃいますか?」
「あ、…はい…」

いつぞや、「政治の世界に来ませんか?」と誘いに来た男性です。
黒いサングラスに黒の背広と黒ネクタイ、マトリックスさながらのその男は、
突然イワシの前でサングラスをはずし、床に手をつきました。

「あなたに、市長選に立候補して頂きたいのです。この通りです!!」
「ちょっ!待ってください!頭上げてください!!」
「お願いです!今、政治は腐っております!!」
「いや、はい、まあ…でも…ですね…僕はこの通り、若造ですし……」
「現市長と、警察との癒着をご存知ですか?」
「…そんなことしてるんですか?」
「刑事が犯罪組織のアジトを見つけても、摘発できない理由がお分かりになりますか?」
「見つかっているんですか!?」
「市長と警察の上層部が、犯罪組織から見返りを貰っているのです」
「税金払ってる市民への裏切り行為じゃないですか!ひどい…」
「今、市には正義が必要なのです!」
「少し、考える時間を貰えませんか」

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イワシは決断するのでしょうか。

「選挙活動なら、得意のカルボナーラでも配れ。簡単に市長になれるぞ」

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「選挙の立候補者は何も配っちゃいけないのよォ!」
「ケチくさいこと言うな。なあ?イワシ」
「いや、奥さん、だからね、僕は立候補するかどうかを相談しに来t…」
「でもダイジョーブ!イワシ君ならヘーキよ!」
「いや、あのね、奥さん。だから…」
「庭で摂れたトマト配るのもダメなのか?こいつん家のトマト、うまいんだよなぁ」
「いちお有機栽培ですから…ってそんな事もどうでもよくて…」
「マニフェスト、いつ作る?公約を考えないといかんぞ」
「イワシ君、ウチでやるといいわ。どうせこの人、家だとプールでプカプカ浮かんでるばっかりなんだから」
「人を浮草みたいに言うじゃない」
「…じゃあ、もう明日で…(もうどうにでもなれ)」

立候補決定です。

-つづく-